先週9月28日から10月4日の間にリリースされた韓国ヒップホップのアルバムや楽曲を、簡単なレビューと共にご紹介します。Nucksal(ノクサル)のアルバムや「SHOW ME THE MONEY9」プロデューサーサイファーなどK-HIPHOPの注目ニュースをチェック!
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出典:VMC公式YouTube
最近はバラエティ番組「驚きの土曜日」などにも出演し、多方面で活躍するNucksal(ノクサル)が、正規2集となるフルアルバム『1Q87』をリリース。フィーチャリングには同じVMC所属のDon Mills、Los、ODEE、AOMGのウ・ウォンジェ(Woo)やDeVita、さらにDynamic Duoのゲコ(Gaeko)やコミ(Gummy)が参加という超豪華なアルバムとなっています。また、楽曲プロデュースをVMCのBUGGYや、AOMG所属で親友のCODE KUNSTらが手掛けました。
今回の『1Q87』は、アルバム全体を通して自分自身にまつわる話、自分自身に対する“問い”がテーマになっています。ノクサルが今まで生きてきた中で感じてきたこと、自分自身を振り返るような内容が巧みなリリックで表現されています。延禧洞で仲間たちと過ごしたアンダーグラウンド時代のエピソードや、コロナ禍で混乱した今年の世相に対する思いなども込められています。ノクサルはインタビューで、「学びには終わりがなく、まだまだ世の中には知らないことが多い。自分の人生における質問に対する答えは、まだ見つかっていない。アルバムにはそういうメッセージを込めた」と語りました。
出典:dingo freestyle
SHOW ME THE MONEY出演により生活が一変し、その温度差に悩んだというノクサル。テレビ番組への出演も増え、“ラッパーとしてのキャリアは終わった”などという声もあったのだとか。“テレビに出ている人”というイメージで終わってしまうのは個人的にも惜しかったと話していましたが、本作でラッパーとしてさらに成長した姿を見せてくれました。
「無名の頃はお金がなくても自由があったけれど、有名になって自由を失い、お金を稼いだら稼いだでもっと欲が出てきた。ただ過去に戻りたいとは思わないし、過去に戻っても同じ選択をしたと思う。今が一番良い」と語ったノクサル。ただ、今でも消化不良というか胸の中のつっかえがあり、それを表現したのが10番トラックの「Mirror」。
また、ノクサルが感じた怒りというか、“職業も環境も違う他人が感じているストレスなど完全に理解することはできない”というような感情を、友達と普段話しているような口調でストレートに表現したのが「Love Myself」です。
“墜落”というタイトルが印象的なファイナルトラックですが、それについては「人間はみな落ちている状態だが、ある人は墜落だと感じ、またある人は飛行だと感じる」と。言われてみれば、たしかに! という感じですよね。深い、深いです!
テレビでは面白い姿を見せており、愉快な人というイメージが強いノクサルですが、表では楽しそうに笑っている人でも、必ずその反対の面があり、笑っていない瞬間があります。だからといって憂鬱だとか悲しいとかいうわけではなく、ただ楽しいだけの人間はいない、ということです。『1Q87』ではノクサル自身の話を通して、誰もが共感できる人間の根底にある話をリスナーに伝えてくれています。
ノクサルはディクションも素晴らしいですし、トーンやフロウなどラップスキルがすごいのはもちろんですが、リリックが良いんですよね。本を読んだりインプットをたくさんしているんだろうなと感じられる哲学的な歌詞が多く、『1Q87』では改めてそれを感じさせられました。
- 01. BAD TRIP
- 02. AM I A SLAVE
- 03. WON (feat. 우원재(Woo), ODEE)
- 04. AKIRA (feat. 개코(Gaeko))
- 05. Crack Kidz (Interlude)
- 06. Dance Class
- 07. 연희동 BADASS (Yeonhui-dong BADASS)
- 08. 브라더 (Brother) (feat. Don Mills, Los)
- 09. 나 (Love Myself)
- 10. 거울 (Mirror) (feat. 화지(Hwaji))
- 11. 너와 나 (You and Me) (feat. 거미(Gummy))
- 12. 추락 (The Fall) (feat. DeVita)
出典:JustEnterprises公式YouTube
Just Music所属で、SHOW ME THE MONEY9にプロデューサーとして出演するGIRIBOYが、約1年ぶりとなるアルバム『映画のように』を10/4にリリースしました。秋のムード漂う4曲で構成された本作は、GLEAM、vibin、Johnny、Chiicをプロデューサーに迎え、GIRIBOYらしい独自の感性が込められたアルバムに仕上がっています。タイトル曲の「Acting」は、「We don’t talk together」などで過去にもコラボ経験のある音源クイーンのHeizeがフィーチャリング。本作は次回の正規アルバムの先行公開曲ということで、次のアルバムにも期待がかかります。
いやあこのアルバム、めちゃめちゃ筆者のタイプでした。漢南洞のオシャレなカフェで流れているようなイメージです(笑)。ビートが良いのはもちろんなのですが、GIRIBOYって意外とディクションだったりデリバリーが良いと思うんです(以前、韓国語もまともに出来なくて0ヶ国語とか言っていましたが…笑)。ヒップホップあまり聴かない方でも聴きやすいアルバムだと思いますので、ぜひ皆さま聴いてみてください♡
- 01. 찰칵 (Smile, Wait for the Flash)
- 02. 연기 (Acting) (With Heize)
- 03. 라식 (Lasik)
- 04. 우리서로사랑하지는말자 (Let’s Not Love Each Other)
「SHOW ME THE MONEY9」プロデューサーサイファーを公開
出典:Mnet Official YouTube
いよいよ10/16(金)に初放送を迎えるMnetのヒップホップサバイバル番組「SHOW ME THE MONEY9」。SMTM9にプロデューサーとして出演するPaloalto、JUSTHIS、GIRIBOY、Zion.T、Dynamicduo、BewhYがサイファーを披露した動画が公開されました! 一組一組の持ち時間は短いですが、各チームのカラーが明確に現れたサイファーとなっています。チームZion.T&GIRIBOYとチームDynamicduo&BewhYは、同じチーム内でもスタイルが違って面白いですね。個人的には、JUSTHISやばい! と思いました(笑)
「SHOW ME THE MONEY9」最新情報はこちら♡
2021年1月日本放送!Mnet韓国ヒップホップサバイバル番組「SHOW ME THE MONEY9」最新情報まとめ(出演者、合格・脱落者など)出典:Starry Nightt Music公式YouTube
SHOW ME THE MONEYにも出演したCrucial Starが率いるヒップホップレーベル、Starry Nightt Musicがコンピレーションアルバム『Starry Nightt Vibe』を9/29にリリース。Crucial Star、DNEIRF、Ji Channel、Willy、Wynnが所属するStarry Nightt Musicのレーベル名は、ゴッホの絵「星月夜」からインスピレーションを受け、作品の中の星の輝きのように音楽で小さな愛と癒やしを与えたいという思いが込められているとのこと。ちなみに今回のアルバムのジャケットは、バンド・Jannabiのカバーも手掛けたQwayaが担当。
クルーシャルスターが設立したレーベルということもあり、全体を通してスタイリッシュなビートで仕上げられた本作。彼らにしか表現できない音楽スタイルを存分に詰め込んだアルバムとなっています。秋の夜長にピッタリの雰囲気で、このアルバムも筆者のどタイプでした♡
- 01. 영화 같아 (Like A Movie)
- 02. 바리스타 (Barista)
- 03. PIZZA DAY
- 04. Basil Pesto
- 05. 열작중 (Workin’ Hard)
- 06. 예술병 (Art Disease) (Feat. O’Domar)
- 07. Black Sugar Bubble Tea (Feat. Dopein)
- 08. 샤넬 걸 (CHANEL’s GIRL)
- 09. FINE
- 10. Starry Nightt Gang
AMBITION MUSIKのキム・ヒョウンが、9/28に自身初となる正規アルバム『LOVE-HATE』を発売しました。同じレーベルのZENE THE ZILLA、ASH ISLAND、CHANGMO,、Hash Swanらがフィーチャリングに参加。以前のキム・ヒョウンというとブーンバップのイメージが強かったですが、本作ではオートチューンを多用していて(チャンモの曲のような)最近のヒップホップトレンド寄りの印象を受けました。キム・ヒョウン特有の低音ボイスは変わらず健在です!
- 01. 너에게돌아가고있어이노래로 (GoinBackToYouWithThisSong)
- 02. Baby (feat. ZENE THE ZILLA)
- 03. 자유로워 (Jayourowoa)
- 04. 그걸로 좋아 (Finally) (Remix) (feat. ASH ISLAND, 창모 (CHANGMO))
- 05. 그림자 (Shadow) (feat. Rakon)
- 06. her
- 07. 돛단배 (Sailing Boat) (feat. 뱃사공)
- 08. Come Back (feat. Leellamarz, Hash Swan, Skinny Brown)
- 09. interlude
- 10. 잘 지내 (Take Care)
最近、韓国ヒップホップ界はコンピレーションアルバムラッシュですね。レーベルごとにカラーの違いが現れていて、一口にヒップホップといっても色々なスタイルがあって本当に良いなあとしみじみ感じています。まさに、“みんなちがって、みんないい”ですね!(笑)